ベストンの企業理念

創業の志

1973年11月29日13時15分、熊本市にある地上9階の大洋デパートで火災がありました。当時、熊本の高校生でした。昼休みが終わり、午後の授業が始まったばかりでした。学校前の電車通りから緊急車両のサイレンが聞こえてきました。そのときは、どこかの住宅の火災だろうと思っていました。数分後、複数のサイレンの音が聞こえてきました。

けたたましいサイレンの音で授業は中断、そして全員、教室のベランダに駆け出しました。

そのときの光景は今でも目に焼き付いています。市電の線路を含めて4車線を消防車、救急車、パトカーの緊急車両がサイレンを鳴らして次々と走り過ぎていきます。

熊本県の全ての緊急車両が集まってきたのかと思うほどの台数でした。そして過ぎ去った緊急車両の方向を見ると、熊本城のほうから黙々と煙が出ていたので、てっきりお城が燃えているのかと思いました。

その後すぐの校内放送で大洋デパートが火事だということがわかりました。当時の熊本市にはデパートは二つしかありませんでした。法事や結婚式を始め、なにか大切なときは、どちらかのデパートで購入するというのが私たちの習慣でした。大洋デパートの包装紙と紙袋はブランドでした。

そのデパートが火事だということで大騒ぎになりました。平日は、買い物客は少ないのですが、この日はお歳暮時期ということもあり、普段よりも買い物客は多い日でした。
死者103人。重軽傷者126人。焼失面積13,500㎡。鎮火まで約10時間という大火災でした。別の高校に通っていた小学校の同級生が祖母、母と一緒に亡くなったことを暫くして噂で知りました。

仕事が火災に関係していたこともあって、大洋デパートが脳裏によぎり、火災の原因について図書館で当時の新聞を探して調べました。火災の原因はわかりませんでしたが、被害をここまで大きくした要因は、消防設備、防火設備の点検の不備でした。

翌日の新聞記事を目で追っていると被害者の名前と写真が掲載された紙面に同級生の顔写真が載っていました。小学校では隣同士の机だったので仲良くしてもらいました。校区が違ったので、卒業後は別々の中学に進み、時々、街ですれ違うと笑顔で明るく挨拶をしてくれました。記事によると彼女の高校は、その日は期末試験の最終日で、午前中で学校が終わり、お歳暮を買うために母親と祖母と待ち合わせをして大洋デパートに行き、買い物が終って一緒に食事をして帰る予定だったようです。

彼女の写真は明るい笑顔でした。

この火災で消防法、建築基準法は大きく改正され、非常用照明の設置義務、避難経路の確保義務、世界で初めて、既存する防火対象物に対し、新しい法令を適用させる既存遡及が導入されました(世界の法令は、法令が改正された場合において、新しい法律を適用させない既存不遡及)。

消防用設備を設置したときには着工届、設置届、検査が義務化されました。そして、1974年6月1日消防法が改正され、定期点検報告制度により所有者と関係者は、定期的に消防機関に報告する義務が課せられるようになりました。自分の仕事が大洋デパートに深く関わっていることを知ったとき、この仕事に真摯に取り組んでいこうと決心しました。

1965年から1974年、消防設備点検制度が導入されるまで、病院・ホテル・商業施設などでの死者は約500人にのぼります。これに負傷した人を合わせると何千人にもの人が建物火災で大きな被害を受けました。私たちが従事している仕事は、多くの犠牲のもとに存在していることを常に肝に銘じておかなければなりません。
消防設備・防火設備は、多くの犠牲者を出した事故を教訓に成り立っています。

私たちの仕事の志の礎になるのは、火災や災害によって失われた命への思いです。安全を担う専門職の志は、社会に対して、人に対して誠実を要求されます。そして常に学び、学ぶという謙虚な心と社会に奉仕するという謙譲の精神が必要です。

ベストンの企業理念

①お客様から寄せられた相談や困りごとの解決へ積極的に取り組むこと。

②社会に有益なサービスを創出すること。

③ベストンを必要とする人にそのサービスを提供すること。

この三つを持って社会へ奉仕していきます。

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